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安全保障とは

安全保障の定義

「安全保障」とは、国家・国民の安全を他国からの攻撃や侵略などの脅威から守ること、というのがその定義ということになっています。しかしその定義の中の「国家」「安全」「脅威」という概念自体の変化とともに、「安全保障」の中身も時代と共に変遷してきました。

何を守るのか

たとえば、何を脅威から守るのか、安全保障の対象について見てみると、それが現在の「国家」になったのはもちろん「国家」という概念、そして国家が主体となって形成する「国際社会」が出来上がってからです。ということは少なくとも1648年ウェストファリア条約(ヨーロッパの30年戦争の終結)以降ということになります。それまでは「都市」の安全保障だったり、「君主」の安全や利益の保護だったわけです。マキャベリの『君主論』(1513年執筆)は当時君主の安全・利益拡大がいかに重要だったかをあらわしています。さらに、国家が自分の国家体制のみならず「国民」の安全を守るということになると、本当にここ数百年の新しい概念なのです。今でも統治者が自分の利益を「国家」の利益と重複させ、国民の安全より優先することが、特に発展途上国においては度々見受けられます。逆に、ヨーロッパのように地域共同体を形成し、地域全体の安全保障を目指す考え方も生まれました。こういった現実を鑑みると、定義にあるような「国家・国民」という狭い概念で考えるべきではないかもしれません。

何から守るのか

「脅威」や「安全」の概念も時代と共に変化してきました。長い長い歴史の中で、人間や国家にとっての脅威は、自然災害、伝染病、そして武力だったといえます。そこで、自然災害や伝染病からの安全が安全保障には含まれています。例えば、アフリカで猛威をふるうHIV(エイズ)への対抗策は重要な安全保障の一側面です。しかし、それと同時に、ホッブスの『レァイアサン』にも書かれてあるように、戦争を行うこと、つまり武力に訴えて自国の利益を伸展させること(例えば、権力の拡大(政治的動機)、資源や肥沃な土地を求めての領土拡大(経済的動機)など)は国家や君主の権利の一つであると考えられてきたことから、他国からの武力・軍事的脅威に対して、政治的工作や軍事力で対抗し、自らの利益を守る必要性がありました。そこで、安全保障といえば、主に軍事的脅威からの安全と利益の保障を意味するようになりました。その方法としては、外交・政治上での交渉・立ち回り、国土の防衛、もしくは先制的な積極的対外侵略(帝国主義時代のヨーロッパや日本)などがあげられます。

現代の安全保障

今日でも、安全保障政策といえば、軍事的脅威からの安全の保障方法が通常考察されます。冷戦中の米ソの軍拡競争、湾岸戦争、インド・パキスタンの核兵器配備、アフガニスタン空爆などを見ても、各国にとって安全保障の軍事的側面が現在もいかに重視されているかがわかります。しかし、一世紀ほど前から、「経済的目的を果たすのに軍事力に頼るのはいけない」「他国を侵略してはいけない」というルール作りの努力が始まり、特に第二次世界大戦後は、武力に頼らなくても自由貿易によって経済的利益を得ることに成功したこともあって、軍事力を使って国家の利益を追求することが、主要国の間でタブーとなってきました。その結果、国家が対面する軍事的脅威が減ったと同時に、軍事力という手段を使わずに食糧やエネルギーをどう確保するか、という対外経済政策が、積極的な対外侵略政策に代わって重要になってきたわけです。

国際社会の様相が変化するにしたがって、安全保障も変わり続けています。例えば、伝統的に戦争といえば国家同士の争いを意味したのに対し、第二次世界大戦以来、特に冷戦終結以来、国同士の戦争よりも、国内紛争、民族・宗教紛争の数の増加が問題となってきました。そこでは多くの場合貧困や人権迫害などが紛争の要因となっていることから、武力対立が起こる以前の状況改善努力の必要性が認識され、「予防外交」という言葉が生まれました。一方で、グローバリゼーションの一側面として、大規模な国際的テロリズムが可能になり、国家にとっての新しい軍事的脅威も増えはじめています。また、国家や戦争という観点ではなく、人間一人一人の安全に注目した、「人間の安全保障」という言葉も新しく生まれました。麻薬、エイズ、貧困、迫害など個人個人が対面している脅威に対して、国際社会が協力して立ち向かおうという動きです。

というわけで、安全保障について学ぶ、と一言でいっても、現在では軍事、防衛、外交、国際政治、国際経済政策、開発、人権など色々な意味を含むわけです。このサイトでは、国際政治や防衛、紛争予防政策をとりあげます。